大鹿村中央構造線博物館



緑色岩X10下方(城の腰)

スケールバー:0.5mm,下方ポーラー,pl:斜長石,cpx:単斜輝石,chl:緑泥石,ep:緑簾石
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長柱状の自形斜長石結晶の間を単斜輝石結晶が埋めている.オフィティック組織.
構成鉱物とオフィティック組織から,原岩はドレライト(輝緑岩).
変質鉱物として,緑泥石と緑簾石を含み,緑色を呈する.

オフィチック(ophitic):輝石に多数の短冊状斜長石が透入している、完晶質火成岩の組織。ピレネー産の輝緑岩・ウラライト輝緑岩の総括名であるオファイト(ophite)の組織を、F.Zirkel(1886)が一般化して定義。ドレライト・輝緑岩に模式的に発達。輝緑岩組織(diabasic texture)ともいうが、斜長石に富むとき使用(H.Rosenbach, 1887)。斜長石が輝石中に完全に包まれたときはポイキロフィチック、ごく一部しか含まれないときはサブオフィチック。・・・勝井義夫(平凡社『新版地学事典』1996)

ドレライト(dolerite):Caに富む斜長石、輝石を主とする中粒の完晶質火成岩。粗粒玄武岩とも。岩床・岩脈として産する。科学組成は玄武岩と同じ。かんらん石を含むものは、かんらん石ドレライトと呼ぶ。玄武岩と異なるのはガラスを含まず、結晶がより粗粒であること。オフィチック組織が顕著。ヨーロッパ大陸・米国では輝緑岩ともいうが、英国では変質したドレライトのみを輝緑岩と呼ぶ。混同を避けるためドレライトのことを細粒斑れい岩と呼ぶよう提唱する人もいる。・・・矢島敏彦(平凡社『新版地学事典』1996)

輝緑岩(diabase):A.Brongniart(1807)は現在の閃緑岩に対して初めてこの名を用いたが、その後F.Ziekel(1866)は輝石・ラプラドライトからなる粗~細粒の岩床・岩脈をなす岩石に用い、さらにH.Rosenbusch(1877)は輝石・Caに富む斜長石からなりオフィチック組織を有する第三紀以前の岩石と定義。現在、米国では時代に関係なく、玄武岩と同じ鉱物組成でオフィチック組織の発達する中~細粒の岩床・岩脈をなす岩石に用いる。これは英国のドレライトに相当。ヨーロッパでは現在もRosenbuschの意味で用いられ、日本でもその傾向がある。英国では変質したドレライト(メタドレライト)に用いる。・・・矢島敏彦・田結庄良昭(平凡社『新版地学事典』1996)