大鹿村中央構造線博物館



程野露頭(飯田市上村)

概要

長野県飯田市上村程野
大鹿村-上村間を結ぶ蛇洞林道沿いに標識あり。

露頭の様子


中央構造線の位置に黄色い柱が立っています。

露頭の説明

 

向かって左(東側)の外帯の三波川変成帯の岩石(結晶片岩)と、向かって右(西側)の内帯の領家変成帯の岩石(花崗岩)が接しています。境界付近は、黒色の断層ガウジになっています。

中央構造線を挟んで外帯側が写真奥側(南側)、内帯側が写真手前側(北側)に右横ずれしていることが、尾根の地形からわかります。また、鉛直方向では、本来は斜面の末端に近い内帯側が高くなっているため、外帯側に対して内帯側が相対的に高くなる方向に縦ずれしていると考えられています。

中央構造線は、約1億年前からいろいろな活動をしてきた古い断層で、時代によっていろいろなずれ方をしてきました。一方、日本列島の現在の地殻変動は250万年前ごろから始まりました。断層のずれが最近の地形に表れているということは、この付近の中央構造線が最近の時代に再び活動し始め、活断層になっている可能性を示しています(活断層といってもズルズル動いているわけではなく、数百年~数千年の間隔で地表にまで食いちがいが達するずれ動きを発生し大地震の発生源になります)。程野露頭だけでなく、大鹿村大河原から浜松市佐久間にかけての中央構造線沿いの多数の尾根に食いちがいが見られ、そのすべてが右横ずれ方向であることから、この区間の中央構造線は、右横ずれの活断層と見なされています。

⇒活断層としての中央構造線

露頭周辺の情報

程野露頭周辺には、観察地①、②、③の3箇所の見学ポイントが整備されています。上記に紹介した露頭は観察地②にあたります。看板は整備済みですが、一部、遊歩道の未整備箇所がありますので、十分お気をつけください。

関連サイト

飯田市文化財保護情報サイト-中央構造線程野露頭

参考文献

坂本正夫(2018)『南アルプスジオパーク・エコパーク 遠山郷の魅力』南アルプスジオパーク研究会.

活断層研究会(1991)『新編日本の活断層』東京大学出版会.