北川露頭(大鹿村)
概要
長野県下伊那郡大鹿村鹿塩北川
国道152号線の分杭峠から南へ3km。国道の西側に駐車場があります。歩いて2分の鹿塩川北東岸に露出しています。
※野外観察地の北川露頭のページも参照ください。
露頭入り口看板
露頭の様子
露頭を上から見ると、だいぶ草が繁ってしまっていますが、わずかに両側の岩の色の違いがわかります。また、中央構造線がほぼ南北方向の谷に沿って延びているのがわかります。
露頭正面
露頭説明
領家変成帯と三波川変成帯の岩石が直接接しています。領家変成帯側の淡褐色部分は花崗岩源マイロナイト(深部で延びるように変形した断層岩)を原岩とするカタクレーサイト(破砕岩)です。三波川変成帯側はおもに緑色片岩を原岩とするカタクレーサイトです。
現在、北川露頭はボロボロになった岩が落ちてきて露頭表面を覆っている状態で、地質境界が見えない状態です。かつてきれいにクリーニングした写真には、境界付近にカタクレーサイトが黒っぽく変質した熱水変質帯が見えますが、その原岩も領家変成帯の花崗岩だったと考えています。
2006年4月1日クリーニング後の北川露頭
地質境界(写真赤線)より内帯側に黒っぽい熱水変質帯がある。
なお、露頭表面をきれいにして掘り取った北川露頭標本が、大鹿村中央構造線博物館に展示してあります。中央構造線がおよそ1億年の歴史の中で、何度も動いた跡が読み取れます。詳しい内容については、「北川露頭標本を詳しく見てみる!」の項をご覧ください。
中央構造線博物館に展示してある北川露頭標本
文献
松島信幸(1993) 『南アルプスの中央構造線』断層研究資料センター・伊那谷自然友の会・大鹿村中央構造線博物館
松島信幸(1994) 『赤石山地の中央構造線に対する新しい見方』飯田市美術博物館研究紀要第4号p113-124。
高木秀雄・柴田 賢・内海 茂(1991) 『中部地方における中央構造線の断層ガウジとフェルサイト岩脈のK-Ar年代』地質学雑誌第97巻第5号p377-384。
田中秀実・高木秀雄・井上 良(1996) 『中部地方中央構造線に伴う断層破砕岩類の変形・変質様式と断層活動史』構造地質第41号p31-44、構造地質研究会。