中央構造線ってなに???
中央構造線ってなに???
「中央構造線」は、関東から九州に伸びる長大な断層です。
「中央構造線」のことを英語でMedian Tectonic Line(略してMTL)といいます。
中央構造線の位置。点線部分は、新しい地層に覆われていたり、海底であったりで、位置がわかっていません。
中央構造線をはじめに発見したのは、ナウマン象の名前の由来となったドイツ人地質学者エドムント・ナウマンです。ナウマンは、明治時代に日本の地質調査をしていて、西南日本を縦断する大断層を発見し、「大中央裂線」と名付けました。さらに、この大断層を境に日本海側を内帯(ないたい)、太平洋側を外帯(がいたい)と呼んで区別しました。
中央構造線は、長大な断層です。「断層」というのは、大地の中のズレ目をいいます。「構造線」は、「断層」のうち、たくさんずれ動いた結果、両側に違う岩が並んだ、異なる地質の境界線になっている断層をいいます。
たくさんずれ動いた結果、断層を挟んで違う岩が接した一例。(中央構造線のずれ方を示した図ではありません。)
上の写真は、中央構造線北川露頭です。
岩が風化してぼろぼろ崩れてきているため、地質境界がはっきりとは見えませんが、中央構造線を挟んで、異なる岩が接しているのが、色の違いでよくわかります。
よくある質問
中央構造線と糸魚川-静岡構造線とフォッサマグナは同じものですか?
中央構造線、糸魚川-静岡構造線、フォッサマグナは全くの別物です。
◆「中央構造線」は、日本がまだアジア大陸の一部だった頃に誕生した長大な断層です。海溝と平行に関東~九州へ続き、西南日本の地質構造を大きく二分しています。1億年の歴史の中で、何度かの活動期があり、その度に、異なる方向にずれ動いてきました。
◆「中央構造線」は、250万年前ごろから始まった現在の地殻変動を起こしている力を受けて、現在一部の区間が活断層になっています。
◆「フォッサマグナ」は、「大きな溝」という意味です。断層ではなく、本州中央部の幅のある地帯です。日本がアジア大陸から離れ、現在の位置に移動してきた時期以降の地層で覆われています。北部と南部では、でき方が異なります。「糸魚川-静岡構造線」は、「フォッサマグナ」地帯の西縁の断層です。北部フォッサマグナの西縁の「糸魚川-静岡構造線」と、南部フォッサマグナの西縁の「糸魚川-静岡構造線」は、もともとは別の断層です。
⇒日本列島の骨組みを組み替えた大断層(糸魚川-静岡構造線とフォッサマグナの項)
◆「糸魚川-静岡構造線」は、現在、一部の区間が活断層になっています。
中央構造線は、プレートの境界ですか?
中央構造線は、まだ日本がアジア大陸の一部だったときに、大陸プレートの中に、当時の海溝と平行に生じた大きなずれ目(=断層)です。沖合の海溝やトラフまでは、海面下にあっても大陸プレートです。中央構造線は、昔も今もプレート境界ではありません。
近いうちに中央構造線がずれ動いて地震が起こりますか?
中央構造線は長い間にいろいろな動きをしてきた古い断層です。大陸時代にできた地質の境界としては、1本の断層ですが、日本列島になってからは、地域ごとに地殻変動を起こす力の受け方が異なり、別々の断層になっています。一部の地域では、古傷が再活動し、現在の時代に繰り返しずれ動く活断層となっています。そのため、場所によっては、近いうちにずれ動いて地震が起こるかもしれません。ただし、数日、数ヶ月、数年といった時間スケールでの「短期予知」は不可能です。
なお、かつてたくさんずれ動いていた「地質境界としての中央構造線」の位置と、「活断層としての中央構造線」が地表に現れている位置は、地域によっては数km離れていることもあります。
⇒「地質境界としての中央構造線」と「活断層としての中央構造線」