大鹿村中央構造線博物館



白亜紀のマグマ上昇

白亜紀のマグマ上昇

領家変成帯は、白亜紀後期にマグマが上昇し、高い地温の場所になりました。内帯では、ジュラ紀までの付加体や、白亜紀前期までの堆積岩に、大量のマグマが深部から上昇しました。

沈み込んだ海洋プレートに沿って、海溝から少し入った場所で新しい付加体がつくられるとともに、内陸の下ではマグマが発生します。

プレート沈み込み帯のマグマはどうしてできる?

岩石が融けて液体になったものを「マグマ」といいます。液体のマグマから冷え固まってできた岩石を「火成岩」といいます。

マグマは地球表層の限られた場所でしか発生しません。中央海嶺のようにプレートが開いていく場所(拡大境界)、ハワイのように熱いマントルがスポット的に上昇している場所(ホットスポット)、日本列島のようにプレートが沈み込んでいる場所(沈み込み帯)でマグマが発生します。

図:沈み込み帯のマグマ発生モデルのひとつ

アセノスフェア:高温のため、ゆっくりと流れるように変形できるマントル
リソスフェア:地球表層で冷えて硬くなったマントルと、その上の地殻
プレート:一体に動いている1枚のリソスフェア

プレート沈み込み帯では、冷たい海洋プレートが沈み込んでいるのに、なぜマグマが発生するのでしょうか?それは、海洋プレートが持ち込む 「水」 のせいだと考えられています。

海洋プレートの海洋地殻には、海水と反応してできた水をふくむ鉱物が含まれています。海洋プレートが沈みこんだ深部では、水を含む鉱物は、温度と圧力の上昇に応じて水を含まない鉱物に変わり、余った水が放出されます。

高温高圧の岩石に水(高温なので水蒸気)が加わると、岩石が融ける温度(融点)が低くなります。その理由として、高圧の状態では、岩石と水蒸気が別々に存在するよりも、岩石が融けて液体のマグマになり水蒸気を溶かしこんだほうが、全体の体積が小さくなれるからだと説明されています。また、純粋な物質よりも混合物の方か融ける温度が低くなる融点降下(凝固点降下)という現象によるという説明があります。

沈み込まれる側では、深い場所では地下深くなるにしたがって地温が高くなります。深さ100km~200kmのマントルの温度は1400℃程度だと推定されています。この温度と圧力では岩石は融けませんが、水が加わると融点が200℃程度下がって融けるようになることが、実験で確かめられています。

そのため、沈み込んだ海洋プレートの深さが100km以上に達している位置の直上では、沈み込まれる側のマントルの一部が融けてマグマが発生します。このマグマが上昇して火山帯を造ります。したがって「沈み込み帯の火山帯」は海溝と平行に生じます。沈み込んでいる海洋プレートそのものは冷たいので、ふつうは融けません。ただし、もっと高温だった太古の地球では、沈み込んだ海洋地殻が融けて大量のマグマを発生させていた時代もありました。

一方、沈み込んだ海洋プレートが深さ100kmに達する場所より海溝側では、沈み込まれる側の温度が充分に高くないので、水が加わってもマグマができません。そのため地表の火山帯にも、「火山フロント」という、それより海溝側には火山が分布しない境界線ができます。火山フロントの位置は、沈み込む海洋プレートの新旧(新しいプレートほど温かい)や沈み込み速度や角度のちがいなどにより、時代により少し変わりますが、海溝付近に火山が分布しないことはいつの時代にも共通しています。このような海溝と平行で、内陸側に数100km離れた位置に火山帯が分布する様子は、プレートテクトニクスが明らかになるよりずっと前から「環太平洋火山帯」として知られていました。

火成岩の分類表 
⇒山賀進さん作成(ホームページ)

岩石の融点には、固体の岩石の一部が融け始めるソリダスと、もっと高温で液体から鉱物結晶が生じ始めるリキダスという2種類の融点があります。ソリダスとリキダスの間の温度では、固体の岩石と液体のマグマが共存しています。この状態を「部分融解」といいます。部分融解の状態では、もとの岩石のうち融けやすい成分がマグマの方に多く入っています。そのマグマが岩石から離れて集まり、もとの岩石とは成分が異なるマグマが上昇し始めます。こうして、かんらん岩質のマントルの部分融解で玄武岩質のマグマができます。

地球上では、沈み込み帯のほか、海洋プレートどうしが割れて離れていくすきまにマントルが少々している中央海嶺と、暖かいマントルが深部から上昇しているホットスポットでもマグマが造られています。中央海嶺とホットスポットでは、この玄武岩質のマグマが湧き出して、玄武岩質の海洋地殻を造っています。

一方、沈み込み帯では玄武岩質マグマが固結して玄武岩質(斑れい岩質)の大陸下部地殻を造ります。しかし水を含んで融点が低くなっているため、大陸下部地殻の部分融解が生じてさらに融けやすい成分が多い花崗岩質のマグマができ、花崗岩質の大陸上部地殻ができます。沈み込み帯のマグマ活動は、大陸地殻をつくるはたらきともいえます。花崗岩質の大陸上部地殻は軽いので、地球深部へ沈むことなく大陸の中央部には太古の大陸地殻が現存しています。オーストラリア大陸では44億年前という年代が確認されています。大陸周縁の沈み込み帯のマグマ活動により、大陸地殻は成長してきました。

また、玄武岩質と花崗岩質のマグマが混ざると安山岩質のマグマができます。さらにマグマの成分の一部が固体の結晶となって分離したり、道筋の岩石を融かしこんだりして、いろいろな成分のマグマができます。それらのマグマがいろいろな深さで冷え固まり、沈み込み帯では火成岩の分類表にある多様な火成岩ができます。なお火成岩の分類表の上段はマグマが地表に噴いて急速に冷えてできる火山岩、下段はマグマが地下でゆっくり冷えてできる深西岸です。一方、左から右へ並べているのは、岩石の成分による区分です。成分による「・・・質」の呼び方は、火山岩で呼ぶものと深成岩で呼ぶものが混在して不統一ですが、火山岩と深成岩を並べると、「かんらん岩(かんらん岩質の火成岩は太古の地球で造られたものしかありません)」「玄武岩‐はんれい岩質」「安山岩‐閃緑岩質」「流紋岩‐花崗岩質」になります。

領家花崗岩・山陽花崗岩・山陰花崗岩

西南日本の白亜紀~古第三紀の花崗岩は、内帯に広く分布しています。

それらの花崗岩は、中国・四国地方をモデルに、領家花崗岩、山陽花崗岩、山陰花崗岩に分けられています。山陰花崗岩は、砂鉄のもとになる磁鉄鉱を多く含んでいます。

領家花崗岩は、領家変成帯に分布する花崗岩です。木曽~東濃の上松-苗木花崗岩、鈴鹿山地北部の御在所山の花崗岩、六甲の花崗岩、広島花崗岩などは、山陽花崗岩に区分され、ふつうは領家花崗岩に含めません。

 

⇒「対の変成帯」へ進む

⇒「中央構造線ってなに」TOPに戻る