大鹿村中央構造線博物館



付録:『地質図NAVI』で中央構造線の位置を詳しく調べる!

ここでは、「地質境界としての中央構造線」と「活断層としての中央構造線」の位置を、インターネットで公開されている独立行政法人・産業技術総合研究所地質調査総合センターの『地質図Navi』というマップで見る方法を紹介します。

地質境界としての中央構造線はどこを通っている?

『地質図NAVI』の操作手順

  1. 地質図Naviを開く。
  2. 「地質図Naviを表示」のバナーをクリック
  3. 初めは左の凡例の「シームレス地質図V2」の▼マークをクリックし、「基本版」を選ぶと分かりやすい。
  4. 上のツールバーの「透過度」をクリックして地質図を薄くすると「背景地図」が見やすくなる。
  5. 右上の「背景地図」をクリックして「地理院地図」または「地理院地図グレー」を選ぶと、地名が見やすくなる。
  6. スクロールし、自分が知りたい場所を拡大する。
  7. ポインタを合わせて右クリックし「ここの地質説明を表示」をクリックするとポップアップで説明が出ます。

内帯の岩石を探そう!

中央構造線のおおまかな位置で見当をつけて、その地域のマップで領家変成帯の岩石と三波川変成帯の岩石の分布を見ます。新しい地層で覆われて境界が見えない場合は、両帯の岩石の間のどこかに中央構造線があります。

領家変成帯側の岩石は、白亜紀後期の花崗岩、白亜紀後期の高温低圧型の領家変成岩、それらを覆う白亜紀末期の海底に堆積した和泉層群です。

花崗岩類はピンク系。領家変成帯に分布する花崗岩は「前-後期白亜紀(K1-2)の珪長質深成岩類」というタイトルで、説明と「凡例番号:130」が付きます。地域によっては、「後期白亜紀(K-2)の珪長質深成岩類、凡例番号:129」が中央構造線に接しているところもあります。

領家変成岩は淡緑色で「領家変成岩(m8/低‐中圧型)、凡例番号:151」です。

奈良県五條から西では中央構造線沿いの領家変成岩や花崗岩の上に白亜紀の和泉層群が覆っています。試しに和泉山地や阿讃山地の部分をクリックしてみてください。中央構造線沿いの「後期白亜紀(K2)の堆積岩類、凡例番号:15」が和泉層群です。これらが内帯側で中央構造線に接している岩石です。

外帯の岩石を探そう!

外帯側で接している岩石は、白亜紀後期の低温高圧型の三波川変成岩ですが、御荷鉾緑色岩類や秩父帯や四万十帯北帯の岩石が接している地域もあります。

三波川変成岩は黄緑色で「三波川変成岩類(m9)/高圧型、凡例番号:156」です。

ただし赤石山地南部などでは、御荷鉾緑色岩体(緑色)「ジュラ紀(J1-3)の苦鉄質火山岩類(付加コンプレックスの中の岩体)、凡例番号:74」、かんらん岩体(紫色)「超苦鉄質岩類(超塩基性岩:蛇紋岩:オフィオライト)、凡例番号:77」、秩父帯「前-後期ジュラ紀(J1-3)の付加コンプレックスの基質、凡例番号:77」や秩父帯中のチャートブロックが接しているところもあります。

また紀伊半島中央部では四万十帯北帯「後期白亜紀(K2)の付加コンプレックスの基質、凡例番号:40」が接しています。

中央構造線はどこ?

断層線は黒線で示されています。上記の内帯側の白亜紀花崗岩・領家変成岩・和泉層群と、外帯側の三波川変成岩や御荷鉾緑色岩体(例外的に秩父帯・四万十帯北帯)の境界になっている断層が地質境界としての中央構造線です。地質図は20万分の1の精度なので、拡大した場合に2万5000分の1の背景地図に示される位置には最大で数百メートルの誤差があります。

こうして見ると、白亜紀の岩石が新しい地層に覆われている場所が多いことに気づかれるでしょう。新しい地層に覆われていても、その下に領家変成帯か三波川変成帯のどちらかの岩石が分布していることが明らかな場合は、その新しい地層を含めて内帯側か外帯側か判断できるので、中央構造線を引けます。しかし両者にまたがって新第三紀層や第四紀火山が覆っている場合には、中央構造線は引けません。また平野部では第四紀の堆積物に覆われているので、中央構造線は見えません。しかし平野の両側に内帯と外帯の岩石が露出していれば、その間のどこかに中央構造線があるということは言えます。

活断層としての中央構造線はどこを通っている?

今度は「地質図Navi」の左側の凡例の「データ表示」をクリックし、「活断層データ」をクリックしてください。精度についての注意書に同意すると、活断層が推定されている位置が赤線で出ます。おおまかな推定なので地図を拡大すると消えてしまいます。大地形から推定しても、詳細な位置は引けない場合も多いのです。

より詳細な活断層マップは、「都市圏活断層図」をクリックすると出ますが、日本列島の全域をカバーしていません。また建物が一つ一つ分かるような大縮尺の地図だと、その精度では断層線を引けない場合もあります。しかし地形の変位(たとえば逆断層によって下流側が高くなり上流側に傾いてしまった扇状地面などが)が示されている場合もあります。活断層としての中央構造線は、愛媛県伊予市~奈良県五條市の区間がカバーされています。

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