地面の揺れ
地震波が地表面に達すると、地面に振動が生じます。地面の振動(揺れ)を感じて「あっ、地震だ!」と思い、「地震が発生した」と思いますが、本当の発生源は地下の震源断層です。
P波(最初に到着する縦波)のカタカタという揺れの始まりと、遅れて到達するS波(2番目に到着する横波)のユサユサという揺れの始まりまでの時間差から、震源からの距離のおよその見当がつきます。1秒の時間差が震源からの距離8kmというのが目安です。
マグニチュードが大きい地震の震源断層は面積が広いので、ずれ動いて地震波を出している位置が震源断層の端まで移動するのに時間がかかります。2011年3月11日の東北沖地震では、200km×500kmの震源断層面の端までずれ終わるのに150秒かかりました。その間、地震波が到着し続けますから、各地で感じた揺れも長く続きました。
震度:地面の揺れの強さ
地震波が地表に達して生じる揺れの強弱を「震度」で表します。日本で使われているのは「気象庁震度階」です。気象庁震度階では震度7が最大です。世界では、いろいろな震度階が使われています。
ひとつの地震で、マグニチュードはひとつですが、震度は場所ごとに違います。一般的には震源断層から遠いほど揺れが弱く(震度が小さく)なりますが、地盤が軟弱なほど揺れが強く(震度が大きく)なります。
かつては気象台の職員が、揺れの感じ方や被害の様子を見て震度を決めていました。今では、市町村役場などに設置されている「強震計」という地震計の観測値で震度を決めているので「計測震度」といいます。
共振:建物の揺れ方
自然現象としての地震による地面の揺れ方は、ガタガタという短い周期ものから、ユッサユッサと長い周期のものまで、いろいろです。ある周期の揺れがとくに強い場合、それをその地震によるその地点の「卓越周期」といいます。
一方、建物を揺さぶると、建物ごとに特定の周期で振動します。これ建物の固有周期といいます。木造住宅の固有周期は0.5秒程度ですが、強く揺さぶられることにより構造が緩んで1~2秒になることが分かってきました。高層ビルの固有周期は3~6秒です。
地面の揺れの卓越周期と建物の固有周期が一致すると、建物の揺れが増幅されて大きな揺れ幅で振動するようになります。これを「共振」といいます。地震ごと、地点ごとに、地面の揺れの卓越周期が異なるので、強く揺れる建物のタイプも異なります。
2011年3月11日の東北沖地震では、関東平野や大阪平野の厚い堆積層で増幅された長周期の揺れで、固有周期が長い超高層ビルが大きく揺れ続けました。