大鹿村中央構造線博物館



マグニチュード8級の東海・南海地震

地震発生履歴

駿河トラフ~南海トラフ沿いのプレート境界では、古代からの地震の記録が残っています。古代のものは史料の欠落が考えられますが、1498年明応東海地震以後は90年~147年間隔でマグニチュード8級の地震をくりかえしています。1605年慶長地震はアウターライズ地震の可能性がありますが、それを除いても、最長215年でプレート境界型巨大地震をくりかえしてきました。

2019年現在では想定東海地震の震源域の下のプレート境界面は165年間ずれ動いていません。いつでも地震が発生する状態にあると考えるべきです。

上の図のように、過去の東海地震の震源域は、すべて想定東海地震と想定東南海地震の震源域を合わせたものです。1944年に西半分がずれ動いたので昭和東南海地震と呼ばれ、東半分の昭和にはずれ動かなかった領域で発生すると予想された地震を想定東海地震と名付けられました。このずれ残りの部分はいつでも地震を発生しえると考えられています。

この状況は変わっていませんが、1944年昭和東南海地震でずれ動いた領域も前回の地震発生から75年経過し変形がかなり蓄積しているので、想定東海地震が発生すると想定東南海地震の震源域の下までずれ動きが広がる可能性が考えられます。これは1498年明応東海地震や1854年安政東海地震の震源域と同じです。1707年宝永地震は、さらに南海地震の震源域の下までずれ動きました。なお1854年12月23日に発生した安政東海地震の32時間後に安政南海地震が発生しています。

安政東海地震タイプの震源断層モデルと震度予測

マグニチュード8級の安政東海地震タイプでも、震源域が陸域の下まで広く広がるため、マグニチュード9.0の2011年東北沖地震の陸域の揺れより強い揺れが広い範囲で生じます。

この図には、古文書の記録から推定した1854年安政東海地震の震度を丸印で重ねてあります。地盤が軟弱な濃尾平野、諏訪盆地、甲府盆地では、遠方でも震度7の揺れが生じた地点があります。

また、陸域の近傍で津波が発生するので到達時間が短く、とくに駿河湾岸では地震発生後10分以内で津波が来ると予想されています。

⇒「マグニチュード9級の『南海トラフ巨大地震』」へ進む

⇒「地震」TOPに戻る