面構造と線構造
マイロナイトには、通常、面構造と線構造が原岩よりも顕著に見られる。カタクレーサイトや断層ガウジにも、面構造が見られるものがある。
マイロナイトの面構造と線構造(高木1998)
マイロナイト面構造(Sm)
伸長したプレッシャーシャドゥやリボンと、その他の基質部分が造るmmオーダーの縞状構造(フラクションバンディング)や、再結晶鉱物の全体的な配列により規定される面構造。一般的には剪断帯の全体的な姿勢とやや斜交するが、剪断が強くなるに従い剪断帯の姿勢となす角は小さくなる。
野外でも比較的容易に認識できる。上の図のXZ面とYZ面に近い断面で、それぞれ縞状構造や再結晶鉱物の配列方向を確認できれば、その両者を含む面がSmである。
マイロナイト線構造(Lm)
伸長したプレッシャーシャドゥや再結晶鉱物の伸びで規定される線構造。面構造(Sm)上で認識される。
野外では、たまたま面構造(Sm)がきれいに露出していない限り測定できない。方位を記録して採取した試料(定方位試料)を切断研磨して面構造(Sm)を出し、方位を復元して試料を固定し、面構造(Sm)上の線構造(Lm)を測定する。
面の呼称
マイロナイト線構造(Lm)をX軸方向とし、マイロナイト面構造(Sm)の面内でLmと垂直な方向をY軸方向とし、Smに直交する方向をZ軸方向とする。XY面は面構造(Sm)に平行な面、XZ面は面構造(Sm)に垂直で線構造(Lm)に平行な面、YZ面は面構造(Sm)に垂直で線構造(Lm)に垂直な面になる。
剪断のセンス(相対的な向き)を知るためにはXZ面を観察する必要がある。
例えば、以下のポーフィロクラスティック・マイロナイト切断研磨面(XZ面)の写真からは、
非対称微小構造から、上盤側が左手前に動いたことが分かる。
剪断センスの判定については、次ページに記す。
なお,このホームページのXZ研磨面やXZ薄片の画像は,とくにコメントがないかぎり画面の水平方向がSmの方向になるようにレイアウトされている.