大鹿村中央構造線博物館



鹿塩温泉のH2Oの長い旅路7:沈み込み帯の深部に運ばれる水

海洋プレートから放出される水が、マグマが発生する位置まで運びこまれるしくみは、まだよく分かっていません。

モデルの一つを紹介します。

  1. 海洋地殻の含水鉱物の脱水により水が放出される。
  2. 放出された水は、大陸側のプレートの下の温かいマントル(大陸プレートと斜めに沈み込む海洋プレートに2辺を挟まれた三角形の形状から「楔状(くさびじょう)マントルといいます」)に上昇し、マントルのかんらん岩が熱水変質し、含水鉱物の蛇紋石から成る蛇紋岩ができる。
  3. 蛇紋石は粘土鉱物と似た結晶構造をもち、きわめて塑性変形しやすく、沈み込む海洋プレートに引きずられて深部へ運ばれる。
  4. 深部で蛇紋岩の脱水により水が放出され、低温のプレート境界より上の高温のマントルへ上昇する。
  5. 水による融点降下でマントルかんらん岩が部分融解し、玄武岩質のマグマ(初生マグマ)が生じる。

北海道大学山本順司准教授のホームページが図入りで分かりやすいかもしれません。

 

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