大鹿村中央構造線博物館



謎の塩水

大鹿村鹿塩(かしお)に海の水と同じぐらい濃い塩水が湧いています。
明治時代には、製塩がおこなわれていました。
いまでは温泉旅館になっています。

山の中に塩水が湧くなんて不思議ですね。

雨や雪として降った水、それがしみ込んだ地下水、川や湖の水を合わせて「天水(てんすい)」といいます。
源泉に出ている温泉水は、もとの水(原水:げんすい)が天水で薄められて出てきたものです。

塩分を含む原水としては、岩塩を溶かした水や化石海水などが考えられました。

岩塩(がんえん)

砂漠で塩湖(えんこ)が干上がってできます。
×日本列島には砂漠でできた地層は見つかっていないので、岩塩は無さそうです。

化石海水(かせきかいすい)

海の底に堆積した地層には、堆積物のすきまに海水が含まれます。だんだん地層が厚くなると、地温が高い地下で圧縮されて岩石に変わっていきます。そのときに海水の大部分は絞り出されますが、一部が粒子の間に残ることがあります。そのようにして長い間、地層に閉じ込められた海水を「化石海水」とか「古海水」といいます。
日本列島には新第三紀の2000万年前~数100万年前に海の底に堆積し、固い岩石になりきっていない地層がたくさんあり、そこから塩分を含んだ温泉水が湧いている場所がたくさんあります。
×大鹿には、新第三紀の海の地層はありません。

 

1970年代から、鹿塩温泉の水(H2O)は、「同位体(どういたい)」解析という方法で調べられるようになりました。

その結果、化石海水(昔の海水)ではなく、マグマに含まれている水と同じ水であることが分かりました。ただし大鹿には火山はありません。その謎は、日本列島の火山のでき方に答えがあります。

ここから先は、温泉水の水(H2O)そのものと、温泉水に溶けている成分を分けて考えていきます。

 

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