大鹿村中央構造線博物館



水の調べ方

水は水なのですが、微妙な違いがあります。

水分子(H2O)は、水素原子2個と酸素原子1個が結びついてできています。
その水素原子や酸素原子に、いくつかの種類があるからです。

原子

「原子」というのは、中心に原子核があって、周りを電子がブンブン飛び回っている。・・・と、昔、学校で習いました。もう忘れているけど。

原子核は陽子と中性子でできていて、陽子1個はプラスの電気をひとつ(1単位)もっている。電子1個はマイナスの電気をひとつ(1単位)もっている。だから陽子と同じ数の電子が原子核のまわりをまわっていて、原子全体では中性になっている。

ちなみに「イオン」とは、電子が足りなくてプラスの電気を帯びている原子(プラスイオン)や、電子が余ってマイナスの電気を帯びている原子(マイナスイオン)のことです。電気のプラスとマイナスは引き合うので、プラスイオンとマイナスイオンは遠目に惹かれ合ってくっつきます。それを「イオン結合」といいます。水に溶けるとバラバラになったりして、けっこううつろいやすいんですけどね。

一方、電子が回る軌道には定員があるのですが、定員いっぱいになるように異なる原子どうしで軌道を共有し、がっちり結合しているのが「共有結合」です。

同位体

水素・ヘリウム・リチウム・・・ウランという元素の性質、たとえばどんな相手と結合してどんな物質をつくるかといった重要な性質は、軌道を回っている電子の数で決まります。電子の数は、原子核にある陽子の数で決まります。つまり、元素ごとに陽子の数は決まっています。

ところが、原子核にある中性子の数はいろいろです。同じ元素を、さらに原子核にある中性子の数で細分したものを「同位体」といいます。

原子核にある陽子と中性子の数がアンバランスだと、少しずつ放射線を出しながら壊れていきます。そのような同位体を「放射性同位体」といいます。陽子と中性子の数のバランスが良いものは、壊れることなくずっと存在し「安定同位体」といいます。

ここでの水のちがいとは、水素と酸素の安定同位体に関わることなので、ラドン温泉のような放射能泉の話とは関係ありません。

重い水素、重い酸素

 

同じ元素の同位体どうしでは、陽子の数は同じですが、中性子の数が異なっています。陽子1個と中性子1個の重さは、ほとんど同じです。陽子の数が同じでも、中性子の数が多いほど原子核は重くなります。

水素の安定同位体には、陽子が1個だけのもの(水素1)と、陽子1個と中性子1個のもの(水素2)があります。水素1は「軽水素」、水素2は「重水素」ともいいます。水素のほとんどは軽水素ですが、地球の水に結合している水素の0.0115%が重水素です。

酸素の陽子の数は8個ですが、安定同位体として中性子8個(酸素16)、中性子9個(酸素17)、中性子10個(酸素18)の3種類があります。酸素のほとんどは酸素16ですが、大気中の酸素には酸素17が0.038%、酸素18が0.204%含まれています。酸素18はけっこう多いですね。

重い水

水(H2O)は、水素2個と酸素1個が結合したものですね。
重い水素2が結合したり、重い酸素17や酸素18が結合したものは、ふつうの水よりも少しだけ重い水になります。

この、重水素水や重酸素水が含まれている割合から、鹿塩温泉の水の素性が明らかになりました。

 

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