大鹿村中央構造線博物館



いろいろな水の重さ1:海水と天水のH2O

(水の重さの章は、松葉谷治『熱水の地球化学』1991年、裳華房に基づいています。)

海水のH2O

現在の海水の水(H2O)の、水素の同位体比はどこでも一定、酸素の同位体比も一定です。このことから、全地球の海水は循環して良く混ざっているとされます。
海水のH2Oには、水素のうち水素2が0.014%、酸素のうち酸素18が0.1995%含まれています。

上右の図は、いろいろな水の重水素や重酸素が、海水のH2Oに比べてどのぐらい多いか少ないかという割合(同位体比)を表しています。海水のH2Oをゼロとし、多い方をプラス、少ない方をマイナスで表しています。数字はパーミル(1000分の1)で、たとえばマイナス10は、1000分の10(=100分の1=1パーセント)少ないことを表しています。

上の図で、プラスマイナス0パーミルのところにある青丸が、海水のH2Oです。

天水のH2O

雨や雪として降った水、その水が流れている川や湖、地下に染み込んだ地下水を合わせて「天水(てんすい)」といいます。
天水のH2Oの水素2の割合も、酸素18の割合も、海水より少なくなっています。それだけでなく、寒い地方の天水ほど水素2も酸素18も少なくなっています。

天から降る水のもとは水蒸気です。水素2や酸素18を含む重い水の方が蒸発しにくいので、水蒸気には軽い水が海水より多く入ります。
さらに赤道から極地方へ運ばれていくときに軽い水の方が運ばれやすいので、極地方に降る天水の水素2と酸素18は、さらに少なくなります。
また海岸に降る天水より内陸の方が水素2と酸素18が少なくなります。

日本列島の天水のデータは、上の図の、原点(海水)の少し左側から左下にかけての青い帯の中に入ります。そこでこの帯を「天水線」といいます。
左下ほど水素2と酸素18が少ない寒冷地や内陸部の天水です。

なお、同じ場所の天水でも、寒冷な時代に降った天水ほど重い同位体の比率が低くなります。それを利用して、南極の氷を深さ3000mまで掘りぬいたボーリングコアの深さ(=古さ)別の酸素18同位体比のデータから、過去70万年間の全地球規模の気候変動が明らかになりました。

 

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