大鹿村中央構造線博物館



プレート運動と火山の分布

プレート

「プレート」ということばが出てきました。プレートとは、地球の表面付近で、岩石が冷たく固くなっている部分です。プレートの誕生、移動、沈み込みと、マグマの発生には密接な関係があります。地球内部の水も、プレートの移動とともに循環しています。

地球の断面

地球の中心部には重い金属でできた「核」があり、中心の「内核」は固体ですが、外側の「外核」は液体です。でも重い金属が上がってくることはありません。
核を取り囲む、かんらん岩質の岩石でできている部分を「マントル」といいます。マントルとは核を包む「マント」という意味です。マントルの厚さは2900kmで、地球の体積の82%を占めています。マントルは固体です。

エッ、マントルはドロドロに融けたマグマになっていると思っていたかもしれませんが、固体です。どうして地球の中は高温なのに融けていないのでしょうか。圧力が高いからです。
ただし固体でも高温のマントルは少し軟らかく、ゆっくりとなら壊れずに変形できるので、ごくゆっくりなら流動的に位置を変えることができます。

でも、宇宙は冷たいので、マントルの表層の、深さ50km~200km程度までの表層部分は、冷やされて固くなっています。固い部分は亀の甲羅の模様のように10数枚に分かれていて、その1枚1枚をプレートといいます。

プレートの厚みのほとんどはマントルですが、薄い最上部は「地殻」でできています。地殻には2種類あり、マントルと比べて少し軽い海洋地殻と、もっと軽い大陸地殻があります。
ここではプレートのうち、海洋地殻が載っている部分を「海洋性」、大陸地殻が載っている部分を「大陸性」と呼ぶことにします。1枚のプレートにも海洋性の部分と大陸性の部分があります。

プレートの移動と沈み込み

プレートは、冷えて固くなっているだけではなく、冷え続けると縮んで重くなります。海洋性のプレートは、海洋地殻と冷たいマントルの部分を合わせた重さが、その下の温かく軟らかいマントルより重くなるので、地球の中へ沈んでいきます。

プレートは固い板になっているので真下へは沈めず、一端から沈んでいきます。上の図の青色の矢印が、海洋性のプレートが沈み込んでいる部分です。沈み込み口には深い「海溝」ができます。
海溝からの沈み込みに引っ張られて、プレート全体がゆっくりと海溝に向かって移動していきます。

プレート境界の拡大

上の図の赤色の矢印のところは、2枚のプレートが反対方向に移動して、割目になって広がっていくプレート境界になっています。
そこには割目を埋めるように、深部から温かく軟らかいマントルが上昇しています。上昇してきたばかりのマントルは、温かい分だけ軽めなので、すこし盛り上がって「中央海嶺」という高まりを造ります。
表層に上昇したマントルは冷えて新しいプレートになって、離れていくプレートの中央海嶺側の部分になります。

落下していく冷たいマントルと上昇するマントル

 

太平洋プレートは日本海溝から日本列島の斜め下へ沈み込み、極東ロシアや中国の下で深さ660kmに達しています。そこで高圧のため結晶構造が変化するのですが、そこからは塊状となり、周囲よりも低温なマントルの塊として、深さ2900kmのマントルの底まで沈み込んでいることが分かってきました。
低温のマントル(固体)の大規模な下降流を「コールドプリュ-ム」といいます。現在の地球では、アジア大陸の下のコールドプリュームが知られています。

一方、高温の核とマントルの境界からは、温かいマントル(固体)の上昇流が生じます。大規模な上昇流を「ホットプリューム」といいます。現在の地球では、南太平洋とアフリカ大陸の下のホットプリュームが知られています。上昇流が表層付近まで達している地点を「ホットスポット」といいます。

マグマが発生している場所

地球上の火山の分布は限られています。
図の①「中央海嶺」は、プレートが割れて離れていく場所です。そこには割目を埋めるように、温かいマントル(固体)が上昇しています。
約100kmより浅い地球表層では圧力が低いので、温かいマントルの一部が融けてマグマが生じています。
図には代表として太平洋中央海嶺、大西洋中央海嶺、アフリカ大地溝帯に番号を付けています。アフリカ大地溝帯は、割れ始めたばかりの境界です。

図の②「ホットスポット」は、表層のプレートの運動とは無関係に、ずっと深部から温かいマントル(固体)が上昇している場所です。ホットスポットでも、圧力が低い表層で、上昇したマントルの一部が融けてマグマが生じています。
番号を付けたのはハワイとイエローストーンです。右下の図のように数10ヶ所あります。

図の③「沈み込み帯」は、冷えて重くなったプレートが別のプレートの下に沈みこんでいる場所です。沈み込み口の海溝と平行に、沈み込まれるプレート側に数100km離れた付近に火山が連なっています。
冷たく冷えたプレートが沈み込んでいるのにマグマが生じるのは、沈み込んでいる海洋性のプレートが持ち込んでいる水のために、岩石が融けやすくなるためだと考えられています。
例として日本列島、インドネシア、アンデス山脈に番号を付けました。

 

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