不均質な岩相①層状雲母鉱物の効果
No.13-3細粒片麻状角閃石黒雲母トーナル岩
試料番号03122206(中央構造線からの距離1350m)
No.13-3露頭からの試料No.03122206(fig13)は,黒雲母が長軸をそろえて層状に配列している.層間の石英には顕著な多結晶細粒化が見られる.このような黒雲母の層状配列と細粒石英のリボンは,縞状の岩相の優黒部には,しばしば見られ,それが面構造を規定しているものがある.
No.13-2片状トーナル岩中の小剪断帯
試料番号03122205-01(中央構造線からの距離1410m)
fig14a,b,c
No.13-2露頭からの試料No.03122205-01(fig14)には,幅約1mmの脆性剪断帯が認められた.粉砕された基質中に原岩の黒雲母,長石,石英の破砕岩片が散在したカタクレーサイトが形成されている.原岩のマイロニティック・トーナル岩との境界は明瞭である.
この,後生の脆性小剪断帯は,原岩の黒雲母の配列を利用して形成されたように見える.
No.9含ざくろ石黒雲母花崗閃緑岩源プロトマイロナイト
試料番号03122215(中央構造線からの距離860m)
No.9露頭からの試料No.03122215(fig15)は,ざくろ石を含むが白雲母は見られない.fig15b~cの上半部には細粒の黒雲母が多量に含まれている.細粒黒雲母と混在する領域では無色鉱物の粒径も小さい.黒雲母の長軸が連なってうねるように配列している.下半部には,中央の斜長石ポーフィロクラストの左下の周縁部のように,うねるような石英のバンドが見られる.この試料には,黒雲母の配列に沿って弱いカタクラスティックな破断が見られる.
一方,ほぼ石英のみからなり黒雲母を含まない部位(fig15e~f)では,変形は一見あまり強くないように見える.