大鹿村中央構造線博物館



旧高森山林道観察ルートの概要

旧高森山林道鹿塩マイロナイト帯観察ルートについて

高森山林道は、中央構造線の谷中分水界である国道152号分杭峠(ぶんくいとうげ)のすぐ南から、中央構造線と直交方向に領家変成帯の伊那山地へ延びる林道です。中央構造線推定位置から直線距離約150mの位置で、国道から分岐しており、中央構造線沿いのカタクレーサイト(破砕岩)、その原岩であるマイロナイト、マイロナイトの原岩である領家変成岩および花崗岩類を観察できる貴重な観察ルートでしたが、現在は、落石の恐れがあるため林道は閉鎖中です。

なお、林道入口付近には中央構造線そのものは露出していませんが、南方約2kmの北川露頭で観察できます。

かつては、ゲート付近のNo.2露頭から、道のり約3.5km(中央構造線から直線距離約1.5km)のNo.13露頭まで、ネームプレートを吊り下げていました。

この中でも特に、

No.13,トーナル岩(花崗岩類)
No.11,片麻岩(高温型広域変成岩)
No.8,花崗岩類を原岩とするマイロナイト
No.8-1,変成岩を原岩とするマイロナイト
No.5,花崗岩類を原岩とするマイロナイト
No.4,原岩不詳のカタクレーサイト
N0.3,花崗岩源マイロナイトを原岩とする塊状カタクレーサイト
No.2,原岩不詳のカタクレーサイト
が見やすく、これらを見ていくと、原岩と、それが変形してどのような見かけになっていくかという比較ができます。

しかしながら、現地の露頭面は風化が強く、そのままでは新鮮な岩石表面を見ることが難しいこと、またマイロナイト組織は顕微鏡スケールの変形であることから、次ページ以降に、各地点で採取した岩石試料の研磨片と薄片の画像をアップします。

画像の紹介順序

次ページからはまず、露頭から採取した試料の研磨片と薄片の写真を、中央構造線から最も遠い露頭から中央構造線に向かって、順々に示します。
次に、マイロナイトの見かけは、原岩のちがいにより大きく異なることから、原岩を、
①変成岩
②カリ長石を含まないトーナル岩
③カリ長石を含む花崗閃緑岩
に分け、それぞれの原岩ごとに、原岩からマイロナイトへの変化を系列的に示します。

参考文献

河本和朗,2005,長野県大鹿村高森山林道沿いの異なる原岩から形成されたマイロナイトの特徴,伊那谷自然史論集6,p49-70

 

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