大鹿村中央構造線博物館



原岩からマイロナイトへの変化①変成岩

細粒の堆積岩起源の変成岩からは,ポーフィロクラストをわずかしか含まないマイロナイトが形成される.No.11露頭の試料No.03122211(泥質片麻岩)と,No.8-1露頭の試料No.03122302(泥質片麻岩源マイロナイト)は,ほぼ同じ鉱物組成であったと考えられる.

No.11ざくろ石菫青石白雲母黒雲母片麻岩(縞状部) 
試料番号0312221101(中央構造線からの距離1140m) 

fig01a,b,c
  

  泥質片麻岩(fig01)は,ざくろ石と菫青石を含む.無色鉱物の大部分は石英であり,少量の斜長石を含む.白雲母と黒雲母は総体的には面構造と平行に配列している.ただし個々の雲母粒子の長軸方向は総体的な面構造から時計まわりにやや斜交している.なおfig01b~cは,雲母類の消光位を避けるために,薄片を左回り(反時計回り)に少し回転して撮影した.

No.8-1細粒ざくろ石白雲母黒雲母片麻岩源マイロナイト 
試料番号03122302(中央構造線からの距離640m) 

fig02a,b,c

fig02d,e
 

  泥質片麻岩源マイロナイト(fig02)は,肉眼では暗色細粒に見えるが,研磨片(fig02a)では,暗色の基質中にまばらに点在する長石ポーフィロクラストが認識できる.偏光顕微鏡鏡下(fig02b~c)では,斜長石,カリ長石,ざくろ石のポーフィロクラストが認められる.菫青石は見られない.原岩に菫青石が含まれていたかどうかは分からないが,もし含まれていたとしても変質して失われた可能性が高い.白雲母と黒雲母がまんべんなく散在し,石英の粒径は小さい.なお,fig02b~cは,雲母類の消光位を避けるために,薄片を右回り(時計回り)に回転して撮影した.

  fig02d~eは,マイロナイト面構造と写真の長辺とが平行になるように,薄片の回転を戻して撮影した.(高倍率)
  基質の雲母類は,2方向に再配列している.雲母類の長軸の配列による面醸造(Sb面)は鉱物の配列がつくる面構造(S面)から時計回りに低角で斜交している.この面構造(Sb面)は,(S面)から反時計回りに低角で斜交する延性剪断面(Ss面)に切られ,結晶の先端は左回りに曲げられつつせん滅し,結晶全体としては紡錘形を呈している.Ss面沿いにも小粒径の雲母類が長軸をSs面 方向にそろえて配列している.この白雲母および黒雲母の長軸の配列により規定される面構造(Sb面)と,小剪断面(Ss面)の斜交関係から左ずれのセンスが読み取れる.Sb面とSs面の関係は,画像をクリックすると表示される.
  大型で紡錘形の白雲母ポーフィロクラストは「マイカ・フィッシュ」と呼ばれ,その形態からも剪断のセンスが判定できる.
  この試料では,再結晶石英集合体のプールが見当たらないため,その粒径による変形度の評価は困難である.しかし,この露頭は花崗閃緑岩を原岩とするポーフィロクラスティック・マイロナイトの露頭に挟まれており,両側の花崗閃緑岩源マイロナイトの変形度にちがいがないことから,これらと同じ温度圧力および広域剪断応力のもとで変形したと考えられる.

 

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