大鹿村中央構造線博物館



N01-02-x100下方ポーラー

スケールバー:50μm,下方ポーラー,Bt:黒雲母,Cl:緑泥石
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この試料の優白部の細粒基質中には,細粒基質の全鉱物に対するモードで23%の黒雲母が含まれる.黒雲母の一部は緑泥石に変質している.基質がほぼ石英と長石で構成されているにもかかわらず,研磨面で暗褐色に見えるのは,この黒雲母の存在による.黒雲母は長径20~40μmの微細な細片状で,板状の黒雲母結晶の断面を見ているものと思われる.緑色~褐色の多色性を示す.後述の優黒部には,淡褐色~濃褐色の多色性を有する,板状の結晶面を多様な方向に向けた黒雲母片が見られ,原岩の黒雲母の一部が残存しているものと考えられる.それに対し,この微細黒雲母は,マイロナイト化の過程で,原岩より低温の条件で再結晶したものと考えられる.

同様な微細黒雲母は,プレッシャーシャドゥ中にも見られる.基質中の微細黒雲母は,ポーフィロクラストの近くではポーフィロクラストを迂回するように配列しているが,ポーフィロクラストの分布が見られない部分では,Smに対し,時計回りか反時計回りかのいずれかの方向に傾いて定向配列しているものが多い.時計回りに傾斜しているものの傾斜角はSm に対して15°程度であり,この配列で規定される面をSbとする.反時計回りに傾斜している微細黒雲母は,他の角度のものよりも密に配列し,Sm面に対して15°程度の傾きをもつ面上に集中して,わずかに杉型に雁行配列している.この面はシアバンド(Ss)である.SmとSsの斜交関係は,左ずれのセンスを示している.

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