大鹿村中央構造線博物館



N01-組成縞

スケールバー:10mm,Lz:優白部,Mz:優黒部

透明感のある暗褐色部分(Lz)と,暗黒灰色の部分(Mz)が縞状構造をなしている.暗褐色縞の幅は数mm~100mm以上,暗黒灰色縞の幅は数mm~10数mmと,変化に富む.この縞状構造は,原岩の組成縞を反映していると考えられる.

暗褐色縞状部分(Lz)の内部には,幅1mm以下長さ数10mmの白色のリボンが多数発達している.白色のリボンにはプレシャーシャドゥから連続するものと,独立して見えるものがある.この白色のリボンと暗褐色の基質からなる縞状構造はフラクション・バンディング(fluxion banding)と呼ばれる.基質はきわめて細粒で,ルーペを用いても個々の結晶粒子の識別はできない.鏡下では,無色鉱物からなる基質中に微細な再結晶黒雲母がまんべんなく分布していることが分かる.基質の暗褐色の色は,この微細な再結晶黒雲母による.ポーフィロクラストは,カリ長石と斜長石の両方を含む.以上から,原岩のこの部分は花崗閃緑岩に近い組成を持っていたと推定される.(以下,暗褐色部分を優白部と記す)

暗黒灰色部分(Mz)には,粒径1mm以下の細粒のポーフィロクラストが密集し,ザラザラした印象を与える.プレッシャーシャドゥの発達は悪く,フラクション・バンディングも見られない.優白部よりも流動性に乏しい見かけを呈する.鏡下では,基質中に優白部より大きめの黒雲母が見られる.ポーフィロクラストはすべて斜長石である.以上から,原岩のこの部分はトーナル岩に近い組成を持っていたと推定される.(以下,暗黒灰色部分を優黒部と記す)

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